【私たちの取り組み】
「自立支援」という言葉があります。
この言葉に対するイメージや意味はどのようなものでしょうか。
介護・医療に携わる方と、そうではない一般の方でしたら、『本当の意味での「自立支援」』の考え方は一般の方の方がイメージしやすいかもしれません。
なぜなら、現在、介護の現場に携わっている医療職、介護職はこの「自立支援」という言葉の意味を履き違えてしまっているからです。
【「自立」を「支援」するということ】
「自立」とはなんでしょうか。
自分以外のものの助けなしで、または支配を受けずに、自分の力で物事をやって行くことでしょうか。
WHOに定められる「健康」の定義で、社会的自立、精神的自立、身体的自立について、これら全てが良好である状態、とあります(WHO憲章全文第2節より)
高齢者においては、身体的自立が疾病や障害によって阻害されます。
そのため、身体的自立を目標にし、その問題に対し、アプローチしていかなければなりません。
「支援」となんでしょうか。
心のこもったサービス、お手伝い、力添えし助けることでしょうか。
耳触りは良いですが、どれも抽象的ですね。
現在まで行われてきた介護を私たちは「お世話介護」と呼んでいます。
食事、入浴、排せつを三大介護と呼びますが、できなくなった方に対して、そのお世話をする。自分で食べられなくなったから、食事を口まで運び介助する。お風呂に入れなくなったから寝たまま、座ったまま入ることのできる機械浴に入ってもらう。トイレに一人でいけなくなったからおむつをつけ、作業的におむつ交換を行う。
臭いものにフタの対症療法的なケアでは、状態は悪くなっても決して良くなることはありません。
驚くことに、このような「従来型介護」を行う介護施設、介護事業所がまだ数多く存在し、
今現在も対症療法的なケアが行われている現状があるのです。
私たちは「科学的介護」を推進しています。
科学的介護とは、科学的根拠に基づき、問題提起を行い、自立を妨げる障害(問題)を
排除し、身体機能の向上を目指す介護のことです。
【本当の自立支援】
ここまで「自立」と「支援」について述べてきましたが、つまりは
『身体的自立を科学的介護の視点から支援する』ことが自立支援の本質といえるでしょう
この自立支援ケアは4つ基本ケアをもとにアプローチしていくことになります。
その4つとは、「水分ケア」「食事ケア」「排泄ケア」「運動(歩行)ケア」です。
図にもあるとおり、水は様々な好循環を生み、身体に多大な影響を及ぼします。
この「水分ケア」を核とし、覚醒水準の向上、活動性の向上、認知症状の改善や歩行能力の再獲得、常食化、自立した自然排便、尿失禁の改善を図ります。
【訪問介護における自立支援ケア】
私たちは訪問介護事業所です。
全国的に見ても、自立支援型の訪問介護を行っている事業所はほとんどありません。
全国で自立支援ケアに取り組む施設はとても少ないですが、
自立支援型の介護を行う上では、24時間管理することのできる特養や老健などの施設系の方が、より組織的に自立支援ケアを推進し易いため、その多くを占めています。
しかし、訪問介護だからこそできることもあるのです。
ここにこんなデータがあります。
- 日本能率協会総合研究所の「在宅における看取りの推進に関する調査」によると、65歳以上で訪問介護を利用している在宅療養患者を対象に「本人が最期を過ごしたいと希望した場所」を調査したところ、5%が「自宅」と回答、今後も増えていくと予想される。
- 厚労省が実施した「終末期医療に関する調査」で、「自宅で最期まで療養したい」と回答した人は1割。「自宅で療養し、必要となれば医療機関などを利用したい」人と合わせると全体の6割超が自宅での療養を希望していることが分かった。
- 一方で、一般の人の6割が「最期まで自宅での療養は困難」であると考えており、「実現可能」と考える人は1割未満であった。
ここでわかるとおり、本当は自宅が一番なのに、家庭の事情や疾病、家族に迷惑をかけてしまうのが嫌、など様々な理由で在宅での生活をあきらめてしまう方が多くいるのです。
私たちは、認知症や寝たきりによる介護量の増加、ご本人、ご家族様の体力的、精神的な
負担を、ご本人様の問題を取り除くことによって改善することが仕事です。
私たちは、何よりもご本人様とご家族様の、「自宅ですごしたい」という「根源的なニーズ」
を最大限尊重し、実現のため、取り組みます。
【自立支援型訪問介護】
在宅生活を送っている要介護の方は、実際は訪問介護のほか、訪問看護や通所介護(デイサービス)などのサービスを受けている方が多くいらっしゃいます。
そのため、ご本人、ご家族様はもとより、ケアマネージャー様を筆頭に様々な他職種と連携し自立支援ケアを実施していくこととなります。
自立支援ケアを行う上では何より、ご本人、ご家族様の、今よりよくなりたいという意思が必要です。水分ケア、運動(歩行ケア)などは特に、ケアプランに位置づけられていないかぎり、私たちはサービスを行うことができません。
しっかりと他職種でチームを作ることによってケアを進めることができるのです。
私たちの役割は、実際に水分、歩行ケアを行うことももちろんですが、ご家族様や他職種の方々に対し、より多くの選択肢を提示することでもあります。
その際にはしっかりとした科学的根拠に基づき、丁寧にご説明をさせていただきます。
『ADL(日常生活動作)の自立はQOL(生活の質)の向上に直結する』
まだまだ発展途上ではありますが、
私たちは、これからも自立支援ケアにより、お客様の幸せを実現いたします。
これが、私たちの取り組みです。